債務 控除 と は。 立替か扶養義務の履行か~相続税の債務控除や相続財産からの払戻し~

相続債務(債務控除)

債務 控除 と は

1.相続税の債務控除とは? 借金など、特定の人へ金銭やものを渡したり支払ったりする義務を債務と呼びます。 相続税の債務控除とは、相続する財産から債務の額を差し引き、残った金額にだけ相続税を課税する制度です。 財産を相続する場合、現金や土地、住宅などプラスになるものだけでなく、借金やローンなども一緒に相続しなければいけません。 そのため、相続によって相続人の負担が少しでも軽くなるように、この控除制度が設けられています。 2.相続税の債務控除の対象となる債務 相続税の債務控除となるのは、医療費や公共料金など決められた範囲の債務です。 どのような債務が対象となるのか、代表的な例を紹介する前に、債務控除の対象となる債務についての3つのルールをご紹介しておきます。 被相続人の債務であること• 相続開始(被相続人の死亡)時点で現に存在すること• 確実と認められる債務であること 被相続人の債務で亡くなった後に支払うことが確定しているものということです。 連帯債務も債務控除の対象となります。 「後に支払うことが確定している」からです。 対して、保証債務は、債務控除の対象とはなりません。 2-2.医療費 債務控除の対象となる場合で重要な債務が医療費です。 例えば、入院中に亡くなった場合、本人が治療費や入院費などを支払えません。 そこで、こうした支払いを相続人が支払った場合には、相続した財産から支払った医療費を控除できます。 また、相続人が被相続人の医療費を支払った場合、同居しているなど生計を一にする親族の医療費のときには、 相続人はその医療費を医療費控除として確定申告で利用できます。 つまり、条件を満たすことで2つの控除を利用できるため、覚えておくと節税効果が高くなります。 2-3.公共料金 生活の中で発生する電気代や水道代などは、亡くなることを予期して支払うことはできません。 そのため、亡くなった後にこうした公共料金を被相続人の代わりに支払った場合、その費用は債務控除の対象となります。 また、電話料金やクレジットカードの支払いなど、生活に密接に関わる費用の多くも債務控除の対象です。 ただし、債務控除は原則亡くなった後に確定する費用が対象となります。 前払いしていた家賃などは債務控除の対象ではありませんので、相続財産から控除できません。 2-4.公租公課 亡くなった後にも税金を納めることに、疑問を持たれるかもしれません。 しかし、所得税や自動車税、固定資産税など、亡くなった後に納める税金が確定されることは少なくありません。 こうした税金は、被相続人が納めるべき債務ですので、相続人が建て替えて納税したときの費用は債務控除の対象です。 ただ、 固定資産税の場合は注意が必要で、複数名の家族で共有している場合には、その 共有割合に応じた金額が債務控除の対象となります。 また、相続人の都合で延滞金などが発生した場合には債務控除の対象ではありません。 一方で、被相続人によって発生した延滞金などは債務控除の対象となり、この違いにも注意が必要です。 あくまでも、被相続人が支払うべき金額だけが対象となることに気をつけましょう。 2-5.葬式費用 葬式に必要な費用は、相続人が相続した財産から支払うものという考え方から、葬式に関連した費用も債務控除の対象となります。 また、医療費にも含まれる死亡診断書は、葬式に必要な費用と同様の考え方により債務控除の対象となっています。 3.相続税の債務控除の対象とならない債務 上記でも少し触れましたが、債務の中には債務控除の対象とならないものも多くあります。 例えば、お墓や仏壇など、もともと相続税が課税されない非課税財産の購入ローンなどは、債務控除の対象ではありません。 さらに、葬式費用の中で必要な香典返しの費用も対象外です。 これは、香典がそもそも非課税であるため、非課税財産に対する費用が控除の対象外となるのと同じ考え方です。 ただし、どんなものが香典返しに該当するかは判断が難しいため、詳しくは税理士へ相談するのが良いでしょう。 債務控除の対象とならないもの• 保証債務• お墓、仏壇などの未払いローン• 香典返戻費用• (初七日、四十九日といった)法要の費用• 死体解剖費用• 相続登記費用 また、相続によって土地などの不動産を取得した場合の登記費用なども控除の対象外です。 こうした費用は確かに相続によって発生しますが、被相続人がもともと支払うべき費用ではありません。 相続人が負担しなければならない費用のため、 債務控除の対象とはなりません。 4.相続税で債務控除を使える人・使えない人 4-1.債務控除が利用できる人 債務控除が利用できるのは、相続人と包括受遺者と呼ばれる人です。 これらに該当する人は、プラスになる財産とマイナスとなる財産、どちらも相続しなければいけません。 そのため、債務控除の対象者となっています。 債務控除を利用できない者• 特定受贈者• 相続放棄した者• 制限納税義務者 特定受遺者とは、遺贈する財産をあらかじめ被相続人が決めており、その他の財産を受け取らない人です。 つまり、マイナスになる債務を相続する必要がないため、債務控除を利用できません。 また、相続放棄して全ての財産を相続しない人や、国内に住所がなく海外で生活している制限納税義務者なども債務控除は利用できません。 ただし、相続放棄をした人は葬式費用のみ、制限納税義務者は国内財産にかかる債務のみに対して債務控除が受けられます。 ただし、これらに該当する人の債務控除は判断が少し難しくなります。 そのため、該当する可能性がある人は、あらかじめ税理士などの専門家へ相談し、利用できるかどうか、どうしたら利用できるのかなどを確かめてきましょう。 4.債務控除の必要書類と注意点 4-1.申告書第13表「債務及び葬式費用の明細書」 債務控除を受けるための方法は簡単です。 相続税申告書の第13表に対象となる債務と葬式費用を記載するだけです。 何のための費用なのか、相続人の誰が負担したのかなど、種類や細目を記載するようになっています。 難しく思うかもしれませんが、記載する内容は領収書などから転記してくるのみです。 表記が多少異なっていたとしても、それが理由で控除を受けられないということはありませんので安心してください。 【出典】|国税庁 4-2.領収書は保管 債務や葬式費用の領収書は、対象になるかどうか不明なものも含めて、貰う都度必ず保管しておきましょう。 相続税申告書の第13表に正確な情報を記載するため、また後に税務調査が入った時のための証拠書類として重要です。 4-3.領収書がない費用はメモを残す お布施や心づけなど領収書がない費用でも、支払った金額や内容をメモに残しておくことで債務控除として認められます。 領収書がないからと諦める必要はありません。 忘れずにメモしておきましょう。 まとめ 相続税の債務控除は、本来被相続人が支払うべき債務を相続人が代わりに支払った場合などに、その分の費用が相続税の対象から外れる制度です。 支払いが確定しているため、もともと相続しなかったと考えると分かりやすいかもしれません。 そのため、制度を利用しないと損してしまいますが、利用すれば必ず得をする制度とは言えません。 ただし、葬式の費用に関しては得となることが多いです。 兄弟で出し合った場合でも、それぞれの出資割合によって控除が受けられるため、割合を調整することで相続税を0円にすることも可能です。 税理士などと相続した遺産と相続税、控除額を相談しながら、上手に債務控除を利用して節税しましょう。

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第13条《債務控除》関係|国税庁

債務 控除 と は

相続が発生して財産内容を確認していると、「どうやら相続税がかかってしまいそうだ・・・」 こんなとき、財産の中には財産価値が高いものと未払い金などの精算や借金の返済が一部残っている場合があり、財産と負債を何とか相殺できないかと思われていることかと思います。 支払いが確定しているものを支払うと、亡くなられた方の財産が減少するため、相続税の計算で考慮してほしいものです。 そこで利用できる考え方が、相続税の「債務控除」という考え方です。 この「債務控除」により債務控除の対象となる金額分は、相続税の対象とはならなくなりますが、債務控除にはいろいろとルールがありますので、本記事を参考にして、債務控除できるものを適切に判断していただければと思います。 Contents• 相続税の債務控除に該当するものは相続財産から差し引ける 相続財産に借金や負債などのマイナスの財産が含まれる場合、相続税の計算をする際に預金や不動産などのプラスの財産からマイナスの財産を差し引いて考えることができます。 この相続税の計算の過程で、相続財産から負債などのマイナスの財産を差し引くことを「債務控除」といいます。 債務控除の対象となるマイナスの財産は、すでに支払いが確定している債務だけとなります。 本来は亡くなられた方が支払うべきであったものが対象となりますので、すでにその支払いが確定したものとなります。 判断が難しいものもありますので、2章、3章で詳しくご説明します。 (当サイト内) 関連記事 2. 相続税の債務控除ができる3つの分類 債務控除は亡くなられた方が本来は支払うべきだった費用が対象となります。 1つは支払うべきお金を支払わないまま亡くなられた場合、もう1つはどこかからお金を借りしていて本来は 返済しなければならない借金がある場合、最後は亡くなられた方が本来支払うものではありませんが、亡くなられた方の財産から支払ってもよいとされている葬儀関係の費用です。 この主に3つの分類について、考え方をご説明していきます。 図 3:控除対象となる債務は 3つの分類分けられる 2-1. 2-1-1. 生活費の未払い分 光熱費や電話代などの支払いは、ほとんどの場合が後払いのため使用した分を翌月に支払うことになります。 よって、亡くなられた方が利用した分の未払い分については、少額な支払いを含めて債務控除の対象となります。 注意点としては、亡くなられた当日以降の使用分は亡くなられた方の債務ではなく、相続人の費用負担となります。 亡くなられた時点から財産は相続人全員のものとなっていますので、亡くなられた翌日以降の使用分は債務控除の対象外となります。 亡くなられた後も引き続き光熱費が発生している場合は細かい話となりますが日割り計算をする必要があります。 図4:生活費系の債務控除の対象の考え方 2-1-2. 医療費の未払い分 病院への入院期間が長かったり、亡くなる直前に手術をしていたり、最後のときを病院で迎えられたりした場合、亡くなられた後に未払い分の医療費を相続人の方が支払うことになります。 この費用はもちろん亡くなられた方の財産から支払ってもよいのですが、金融機関の口座が凍結されている場合には、立て替えて支払うこともあります。 このような場合、医療費は本来亡くなられた方が支払うべきものであったため、債務控除の対象です。 また、亡くなられた方の生前の医療費は準確定申告における医療費控除の対象となりますので、所得税の減税対象にもなります。 特に高額な医療費を支払った場合には、忘れずに準確定申告で控除しましょう。 表1:医療費の控除について 2-1-3. 税金の未払い分 固定資産税、所得税、住民税の納付通知書が届いているが未納分があった場合も、亡くなられた方に代わって相続人の方が支払いますので、この未納分はもちろん債務控除の対象となります。 医療費や所得税は準確定申告もしますが、相続税の債務控除の対象にもなります。 表2:債務控除できる税金の詳細 2-2. 借入金がある場合には、相続放棄するかどうかの判断も必要でありますが、相続すると決めた場合にはその返済を相続人の方が引き継がなくてはなりません。 また、住宅ローンなどを支払っている途中で亡くなられた場合に、保険等が適用されず支払いが継続される場合には同様です。 これらの債務は債務控除の対象となりますが以下2点の注意が必要です。 2-2-1. 亡くなられた日時点での明確な債務 亡くなられた日の時点で明確な債務とは、借金などの借り入れをしている金額や、住宅ローンなどの返済額が確定しているものになります。 よって、亡くなられた方が知人の借金の連帯保証人になっていたような場合は注意が必要です。 知人の方が返済できなくなった場合は連帯保証人が代わって返済する義務を負います。 亡くなられた方が保証人となっている場合には保証人としての義務を引き継ぐため、その知人の方がいずれ返済できなくなった場合には債務を負うことになりますが、その金額は債務控除の適用外となります。 また、亡くなられた時点の知人の借金額は確認できますが、その時点では債務を負っていないため債務控除の対象とはなりません。 債務控除の対象となる債務は、相続が発生したその時点で確実に亡くなられた方の支払い義務が生じている債務のみであり、まだ支払いが明確でない債務は、例えこのあと債務になって降りかかってきたとしても控除の対象にはなりません。 2-2-2. 不動産ローンの持分に対する債務 住宅ローンなどローンを組んでいる場合には、持ち分を確認します。 ご夫婦の共有名義で住宅ローンを組んでいた場合、登記された持分を確認してみると毎月のローンの返済の内訳が分かります。 金融機関との契約書等では分からないことも多いため、登記の確認が最適です。 もし、団体信用生命保険(団信)などの保険に入っている場合には、亡くなられた方の持ち分の返済は亡くなりますので、債務もありません。 しかし、保険等に加入していない場合には、亡くなられた方の持ち分で計算したローン残債が債務となります。 利子も合わせて債務となりますので、忘れずに確認します。 図 5:住宅の持ち分と住宅ローンの債務控除の考え方 2-3. お葬式は地域性や宗派などによって相場に違いはありますが、債務控除の対象になるかどうかについては、細かな取り決めがあります。 どのような費用が控除対象となるのか、次の表でご確認ください。 また、通常、領収書が発行されないお布施などの費用に関しては、メモ書きで構いませんので記録を残しておいてください。 (当サイト内) 関連記事 3. 相続税の債務控除できると勘違いしがちな費用 債務控除は、本来は亡くなられた方が支払うべきだった債務や、相続を理由に必然的に支払うことになった金銭が控除の対象になることをご説明してきました。 すでに、葬儀費用については取り扱い方が特別であることから勘違いしそうな費用についてはご説明しましたが、実際の未払い金や借入金については、次のような項目が勘違いしがちです。 心情的には債務控除の対象に含めたいものも多くありますが、残念ながら控除の対象にはなりません。 相続税の計算における債務控除の使い方 1章の冒頭で、相続税の計算の過程で、相続財産から負債などのマイナスの財産を差し引くことを「債務控除」というとご説明しました。 預金や不動産などのプラスの財産と、未払い金や借入金などのマイナスの財産はどのように考えていけばよいのかについてご説明します。 4-1. 基礎控除以下であれば考える必要がない 債務控除を考える必要があるケースとは、相続財産が基礎控除額を超えるような場合です。 これは相続税の申告が必要かどうかの判断基準となりますので、もしプラスの財産だけを計算してこの金額を上回らなければ相続税の申告は不要ですので、債務控除について考える必要はありません。 相続税の基礎控除の早見表を使って、相続税の申告の対象であるか確認しましょう。 債務控除を使って基礎控除額以下になれば申告不要 次にプラスの相続財産を計算した結果、相続税の基礎控除額を超えた場合の考え方です。 まずはプラスの財産が基礎控除額を超えたが、債務などマイナスの財産を差し引いたら基礎控除額以下になった場合です。 この場合は、債務を差し引いたら基礎控除額以下になれば4-1と同様に相続税も債務控除も考える必要は ありません。 申告が必要な場合は相続財産から債務を引く 最後に、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた結果、基礎控除額を超えた場合です。 この場合は1円でも基礎控除額を超えれば相続税の申告が必要です。 また、債務が無い場合には基礎控除額を超えたプラスの財産に対して相続税がかかりますが、債務がある場合にはその分を引いた財産額に相続税がかかることになります。 この負債を引いても良いという考え方が債務控除です。 8,000万円-4,800万円(基礎控除額)-500万円(負債)=2,700万円 よって、2,700万円に相続税がかかる 図 6:具体的に債務控除を適用するイメージ 5. さいごに 相続税の債務控除についてご理解いただけましたでしょうか。 相続税の債務控除考える場合には、まずは相続税の申告の対象者であることが必要でした。 基礎控除額を超える財産があるかどうか最初に確認することが大切です。 相続税の対象であれば、亡くなられた日に確定している債務については控除できるため適切に差し引くことで相続税を減額することができます。 債務控除の対象となる財産は、2章でご説明した未払い金、借入金、葬儀費用です。 3章では債務控除の対象だと勘違いしがちなものを確認していただきました。 相続税の申告が必要な方は債務控除を使っていきますが、相続財産の評価方法や相続税の申告で利用する特例など、相続税の申告が必要となると専門的な知識を要することが多くなります。 また、相続税の申告が必要かどうかギリギリの場合にもご不安になるかと思います。 そんな場合には、ぜひ相続専門の税理士にご相談されることをおススメします。 最後に、債務控除については相続人の方の把握力によって変わる部分も大きくなります。 亡くなられた方宛の郵便物の整理や、代わりに支払った領収書類の保管を徹底していただければ必ず役に立ちます。

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立替か扶養義務の履行か~相続税の債務控除や相続財産からの払戻し~

債務 控除 と は

税理士 石橋將年(いしばしまさとし) こんにちは。 中央区日本橋の税理士、石橋です。 相続税の計算は、注意するポイントがとても多いのですが、今回は相続税から引けるもの、つまり「債務控除」のお話しをしてみようかと思います。 といいますのも、債務控除について触れた書籍は少なく、実務的にも判断に迷うことが多いからです。 債務控除とは何ですか? 債務控除(さいむこうじょ)とは、相続税を計算する際、財産から引けるものです。 こちらの図をご覧ください。 財産から債務控除を引いた金額に、相続税がかかります。 つまり、 債務控除の金額(赤い部分)が増えれば触れるほど、相続税を安くすることができます。 他の税理士先生が作られた相続税の申告書を見ておりますと、結構、引き忘れている金額があるんですね。 ですので、債務控除は漏れなく、忘れずに集計して、税務署に申告したいものです。 なお、ここでのご説明は、居住無制限納税義務者(国籍・住所とも日本にある一般的なパターン)を想定しています。 海外に国籍がある、海外に住所がある、といった方は、債務控除できる金額が狭くなりますので、ご承知おきください。 1.債務控除できる借入金とは? 債務控除の趣旨ですが、 「被相続人(お亡くなりになった方)の純財産(財産から借金等を差し引いた財産)に相続税をかけよう」 という考え方から来ています。 ですが、何でもかんでもひける訳ではありません。 細かな法律があるのですが、ポイントは次のとおりです。 (1)相続開始時点で現実に存在するもの 相続税の計算で一番大切な考え方があります。 それは、 「相続開始日で判断する」ということです。 相続開始日とは、原則としてお亡くなりになった日です。 この日の前や後を基準として、意図的に判断したのでは、納税者(我々)の間で判断が異なることになり、ひいては課税の不公平につながります。 ですから、財産は相続開始日の価値で計算しますし、債務控除も相続開始日の価値で計算します。 こちらの図のように、被相続人が生前にお借り入れをした場合、相続開始時点で債務(借入金)は現実にあります。 ですから、銀行借入金であれば、お亡くなりになった日の借入金残高(まだ返していない元本)を、債務控除として引くことになります。 (2)確実な債務であること また、何でもかんでも債務控除できる訳ではありません。 税務署は、 「確実な債務」しか控除を認めません。 では、確実な債務とは何でしょうか? 債務、特に借入金には、「保証債務」と「連帯債務」があります。 結論から言いますと、保証債務は原則として控除できませんが、連帯債務は控除することができます。 「保証債務について」 保証債務とは、要するに、他人の借金のための保証人になった、ということです。 この図で言いますと、知人が銀行から1億円借りて、被相続人が借金の保証人となったということです。 この状態で被相続人が亡くなっても、返済は今まで通り、知人が行っていますから、被相続人は、まだ何ら負担していません。 ですので、確実な債務と言えませんから、この状態では控除できないんですね。 (知人がまだ返せており、被相続人に取り立てがきていない場合は債務控除できません。 当然ですよね) ですので、相続が開始してから暫くあとに、この知人が借入金を返済できなくて夜逃げしてしまった場合。 この場合は、債務控除できません。 「相続開始日現在」で確実な債務となっていませんでしたから。 ですが、相続が開始してからすぐに知人が夜逃げした場合は、特例的に債務控除が認められる場合もありますが、あくまで特例です。 ですので、保証債務は原則として引けない。 これは覚えておきましょう。 「連帯債務について」 連帯債務とは、次のような借入をいいます。 例えば、夫婦で1億円の住宅ローンを組むとしましょう。 そして、住宅の所有権が、夫が10分の7、妻が10分の3だとしましょう。 (このような負担割合にしませんと、贈与税の問題が発生してしまいます) 実務的には、夫婦共同名義の返済用口座を作り、そちらから毎月住宅ローンを返済することになります。 (そうしませんと、これまた贈与税の問題が発生してしまいます) このような住宅ローンは「連帯債務」といいます。 つまり、 共同して借入金を負担しているんですね。 このような債務は、保証債務と違い、いわば自分の債務ということができますから、債務控除の対象として引くことができます。 引ける金額は、本人の負担割合です。 このケースでは、夫の負担割合である7割、7,000万円を引くことができます。 ところで、ご注意頂きたい点があります。 それは、借入金関係の資料を見ても、夫婦の負担割合はわからない!ということです。 銀行と借入契約を結ぶ際は、夫婦が連名で署名しますが、この書類には、「誰が何割負担するか」なんて書いてないんですね。 (そうすると、万が一、返済できなくなった場合、銀行が自分の首をしめることになりますので・・・) ですので、他の書類を見て、「この借入金は夫が7割、妻が3割」と判断する必要があるんですね。 では、どの書類を見て確認すれば良いのでしょうか? それは不動産の登記簿謄本です。 このような住宅の甲区(所有権が表示されている部分)には、 「夫10分の7、妻10分の3」 と表示があるはずです。 原則として、この割合で判断するんですね。 保証債務、連帯債務といった言葉は、民法用語のため、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、債務控除を判断するときには、これらの知識が必要ですから、違いを覚えておきましょう。 2.債務控除できる未払費用とは? 未払費用とは、被相続人が払うべきであった費用のことをいいます。 本来であれば被相続人が払うべきだったのですから、引けるのは当然ですね。 ですが、これも範囲がきまっています。 よくあるのが、次のようなものです。 税金(所得税・消費税・住民税・事業税・固定資産税等)• 医療費• 生活費(光熱費・電話代等) 特に間違えすいのが、税金関係です。 これらは、実際に納付書が届いているから引けるもの、届いていないが引けるもの、といったように、取り扱いが細かく分かれています。 また、医療費も、所得税の準確定申告(お亡くなりになった方の確定申告)で引けたから相続税では引けない、と考えて引いていない税理士先生もいらっしゃいます。 (場合によっては、所得税と相続税、両方引けるパターンがあるんです) 3.債務控除できる葬式費用とは? 葬式費用も、債務控除の対象となります。 本来であれば、葬式費用を引けるのはおかしいんです。 といいますのも、債務控除の趣旨が、「被相続人が払うべきだったもの」だからです。 葬式費用は、被相続人が払うべきものではなく、遺された遺族が払うべきものですよね。 ですが、税務署も鬼ではありませんので、 「お亡くなりになった方のお葬式費用で、 最低限かかるものだけ引いてあげよう」 としてくれたんですね。 では、ここでの「最低限」とは、どのような範囲なのでしょうか? (1)原則としてお通夜とお葬式の二日間の費用のみ控除できる お葬式の費用が何でもかんでも引けたら、税務署も困ってしまいます。 ですから、原則として、お通夜から火葬までが引ける範囲となっています。 通常はお通夜と火葬を連日で行うでしょうから、最初の二日間の費用が引ける、と覚えると良いかもしれません。 ですので、初七日の費用は原則として引けません。 ですが、納骨費用は引けます。 この辺りが相当入り組んで難しいのですが・・・。 また、例外もあります。 宗派によっては、お通夜と初七日を一緒に行うところもあります。 その場合は、最低限かかる費用として、控除できると思われます。 (2)細かなお手伝いさん費用も控除できる場合がある お通夜には、地元の町内会の皆様にお手伝いにきてもらうこともあるでしょう。 そのような場合、タダという訳にはいきませんから、お気持ちをお包みしてお渡しするでしょう。 このような費用も、お葬式費用の一環として控除できます。 (葬儀会社に人の派遣をお願いしても、結局は費用がかかりますからね) ただし、メモを書いて、相続税申告書に付けることをお勧めします。 「4月1日、**町内在住山田さん、葬儀お手伝い、1万円」 といったようにです。 (3)香典返しと、そうでないものとの区別をする 香典返しは、債務控除の対象となりません。 といいますのも、香典をもらっても相続税がかからないので、その裏返しだからです。 ですが、どれが香典返しになるのか、具体的に税務署は示してくれていません。 実務的には、香典返しは、「葬儀後に返すもの」と考えるのが一般的です。 ですので、葬儀に来てくださった方に、お焼香後に袋に入れてお渡しする、安価なお茶やお菓子は、香典返しにならないと思われます。 (債務控除の対象となると思われます) なお、上記の取り扱いは、私の実務経験(税務調査等)と文献調査によるものですので、他の税理士先生と若干見解が異なる部分があるかもしれません。 具体的な内容は、税務専門家にお問い合わせください。 間違えやすいポイント! 債務控除は、金額があまり大きくないせいか、税理士でもあまり勉強していない方も多いです。 間違えやすいポイントをまとめましたので、参考にしてみてください。 (1)預かり保証金を引いていなかった 賃貸不動産をお持ちの方は、賃貸したときに、保証金(敷金)をあずかっているでしょう。 これは、入居者が退去したときに返すものですから、いわば借金と同じです。 ですので、賃貸借契約書を確認して、返すべき金額を引きましょう。 また、確定申告書の決算書を見ると、預かり敷金の金額が記載されているかもしれません。 こちらも要チェックです。 なお、引ける金額は実際の返金額です。 敷金の償却(一部をもらって返さない契約)がある場合は、実際の返金額だけが債務控除の対象になりますので注意してください。 (2)借入金の利息を計上していなかった 銀行からお金を借りている方は、利息をお支払いだと思います。 この利息ですが、前払い方式と後払い方式があります。 普通の住宅ローン等では後払い方式が多いです。 これの漏れが多いと思います。 借入金がある方は、前払い方式か、後払い方式か、きちんと確認する必要があります。 (そこまでチェックしていない税理士先生が殆どだと思いますが・・・) (3)非課税財産の購入費用 仏壇といった財産は、相続税が非課税(かからない)ことになっています。 (これに相続税をかけたら、皆さん怒りますよね) これと裏返しの考え方で、仏壇を買うための借金(借入金・未払金)は債務控除の対象とはなりません。 (考えてみれば当然ですよね。 ですので、相続開始日現在でまだ払っていない借入金や請求書については、非課税財産を購入するためのものでないか、何に使ったか、ヒモ付けして確認する必要があります。 債務控除は、金額が大きくないため、税理士でも簡単に考えている方が多いと思います。 ですが、きちんと時間をかけて調べれば、その分、相続税も節税できます。 ぜひ、面倒がらずに、債務控除についてもきちんと検討することをお勧め致します。 予めご了承ください。

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