ジョーカー 宇多丸。 町山智浩「ジョーカー」解説(ラジオたまむすび書き起こし)

小島秀夫、宇多丸、大島てるなど映画好きが大絶賛!『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』へのコメント&花沢健吾によるオリジナルイラストが到着

ジョーカー 宇多丸

オリンピックも終わってようやく通常形態の放送に。 頂いたメールにもゆっくり目を通せます。 スペシャルウィークなんでストリーミング放送もアリ。 久しぶりのアイツ、DJマッホーがスタンバイ。 番組は9時半からスタート! 9時45分からのミニコーナーでは 本日のゲスト「永遠の夏休み少年」Kダブシャイン氏(こっちゃん)の魅力について改めて。 10時からの無差別映画評論コーナー「シネマハスラー」。 先週、サイを振って決めた映画は 「大評判ですよね。 10年に一度の傑作!なんて言ってる人もいるくらい。 僕はクリストファー・ノーラン監督の前作、『バッドマン ビギンズ』が全然ダメだったんですよね。 本来、荒唐無稽である原作をリアルに描こうとして、そのこと自体が目的化しちゃった感じ。 それに比べて、今回の『ダークナイト』はそのリアル志向に必然性があります。 描こうとしているとテーマと手法とがちゃんと必然性がある、というか。 例えば、舞台となるゴッサムシティ。 ティム・バートン版や(89年『バットマン』、92年『バットマン・リターンズ』)やジョエル・シュマッカー版(95年『バットマン・フォーエヴァー』、97年『バットマン&ロビン Mr. フリーズの逆襲』)では"虚栄と退廃の街"としてゴッサムシティを過剰にビジュアライズしているんですが、この『ダークナイト』ではそれを----シカゴでロケしたっていうのもあるんですが----限りなく実在する街に近い場所として描いている。 それはなぜか? これは誰もがこの映画について絶賛する、ヒース・レジャー演じるジョーカーというキャラクターについて深く関わってきます。 このジョーカーは映画史に残る印象的なキャラクターです。 我々が安穏と暮らしているこの世界の決め事、秩序、モラル、言い換えれば共同幻想を、ことごとく打ち砕いていく悪役なんです。 言っちゃえば"狂犬"なんですが、凄く社会的でモラリスティックな狂犬。 そういう存在が我々の暮らすこの世界の決め事を脅かすっていうテーマなんだから、ゴッサムシティは我々の世界と地続きでないといけない。 その意味で今回、リアル志向路線は大正解でした。 でね、とにかくジョーカー役のヒース・レジャーが素晴らしい! 映画全体についてはいろいろ言いたいこともありますが、この点については誰もが認めるところでしょう。 このジョーカーは本当に素晴らしい! 彼絡みのシーンは全部いいです。 彼は欺瞞を許さない男なんですよね。 あらゆるウソを許さないし、それを暴きたいとも思ってる。 彼が突きつけてくる『お前のその大事にしてるものって、本当に守るほどの価値があるの?』という問いに対して、すべての登場人物たちが右往左往するんです。 かように、この映画はジョーカーというキャラクターを創り上げた時点で"勝ち"ではあるんですね。 ただね...... もったいないんです。 ジョーカーの言ってる思想は凄くエッジなことなんですが、実際に彼がやってる悪事の描写は淡泊なんですよ。 悪い言い方をすれば、口だけ番長に見えちゃう。 言ってることは凄く面白いし刺激的なのに。 少なくとも一箇所は、『これはヒドイ!』って描写を入れておかないと。 残虐描写が見たいって言ってるんじゃなくて、このキャラクターを描くには残虐描写が必要だって話です。 それがないのはなぜか? 簡単な話、この映画は子供も観るファミリー映画としてもつくられているから。 でもそのおかげで、ジョーカーの突きつけてることがボヤけるくらいなら、そもそもそんなテーマに踏み込まなきゃいい話でしょ。 もしくは----僕はこっちのほうを見たかったけど----興行収入は大幅に落ちただろうけど、徹底的に大人の映画にすべきだった。 だって原作のコミックはそこまで踏み込んでるんだし。 『ランボー4』のスタローンのガッツを見習って欲しいですよ。 <『バットマン』なのにこんなテーマに踏み込んで>という驚きがあるのは分かりますよ。 でもね...... ジョーカーこそそういう欺瞞を許さないと思うぞ! ジョーカーのことが好きになればなるほど、この映画のぬるいところが許せなくなってくるんです。 とは言え、相当いい線まで言ってるからこそ、こんなこと言うんですよ。 普通に面白いクライム・ムービーではあるし、最後までずっと楽しめます。 でも、もったいないんですよ。 ジョーカーというキャラクターを徹底に突き詰めて行けば、それこそ映画史に残るような傑作になったはずなのに...... もったいない! それでも、ここまで語りたくなる作品ではあるし、今年の最重要作品であることは間違いない。 とりあえず見といたほうがいい、という意味では...... 心の底から オススメです!」 次回はこっちゃんも縁の深い『デトロイト・メタル・シティ(D. C)』! こちらが放送中にプレゼントした『DMC』Tシャツ。 なかなかコジャレてました。 10時20分からはJ-POP(やアイドルソング、アニソンなど)MIX SHOW「申し訳ないとフロム赤坂」。 ここぞという時にはこの人! MC 仁義a. GERU-C閣下。 本日は特撮(戦隊ものオンリー)MIXで攻めていただきました。 押忍! その裏ではストリーミング放送でDJマッホーがトーク開始。 いい笑顔でKダブ氏も通りがかりました。 10時40分過ぎからはしまおさんとの駄話フェス「ミューズの引き出し」。 先週日曜に行なった公開録音@由比ヶ浜の模様をオンエア。 そちらも 11時からは特集コーナー。 ゲストはこっちゃんことKダブシャイン! 駄話マエストロとして、いろんな引き出しをオープンしてもらったり、 『DMC』にMC鬼刃名義で提供した曲"フロムNYシティ"を肴にヒップホップ音楽 (厳密に言うとギャングスタ・ラップ)の楽しみ方などを語ってもらいました。 しまおさんは途中で『DMC』のチラシを読みふけってました。 見れば見るほど味のある記念写真その1。 見れば見るほど味のある記念写真その2。 「また来てネッ!」(cゆーとぴあ) そして、今週は容赦なし。 ポッドキャスト特別編として、映画『ダークナイト』について デザイナー&映画評論家の"リアル・ジョーカー"高橋ヨシキさんと語り下ろし。 どういうこと! どういうこと! ちなみに上の写真を撮ってくれたのはしまおさん。 「Kダブさんが椅子を低くしたせいで次のヨシキさんの座高が低すぎでした!」 とのことです。 あれだけ喋っておきながら、その後の反省会(朝までコース)では いろいろ言いもらしていたことが発覚。 中でも、「アメリカでは『ダークナイト』は未曾有の宣伝費でプロモーションされた」 という指摘は重要。 それが日本でのヒットの追い風のひとつになったことは間違いないだろうし。 それにしても長丁場、みなさんお疲れさまでした(リスナー含む)。 【本日のじまんTシャツ】 申し訳ないと新作Tシャツ。 これで電車に乗るのはなかなか勇気がいります。 宇多丸は「無理」だと。 (構成作家・古川 耕) 日本屈指のヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーにして、J-POPから映画、アイドル、ゲーム、本など、あらゆるテーマを語り尽くす当代随一のトークマスター。 2009年6月、放送界で最も権威ある「第46回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。 現在もグイグイ増長中でサーセン! ライムスターとしては、3年半に渡る活動休止期間を経てシングル「ONCE AGAIN」でシーンにカムバック。 NEWアルバム&ライブの詳細は&で!• 2016年2月27日up• 2016年2月14日up• 2016年3月 6日up• 2016年2月13日up• 2015年1月 4日up• 2016年3月 6日up• 2011年12月 8日up•

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TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル

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宇多丸さんは、連休最終日の深夜に『ジョーカー』を鑑賞したとのこと。 映画館は深夜にも関わらず、上映開始後も観客の入場が絶えないほどの人気だったそうです。 宇多丸:アメコミのヴィラン(悪役)を単独で扱った映画が一般層まで巻き込んで大ヒットというのは、10年以上前だったらちょっと考えづらかった状況だと思うんですけど。 成り立たせている背景のひとつとして、やっぱり「ジョーカー」というブランド。 ジョーカーというブランドが何であるかと言えば、間違いなく『ダークナイト』(2008年)での、ヒース・レジャーによる歴史的名演で強烈に印象づけられたジョーカー像が前提としてあると思うんですね。 「『ダークナイト』のジョーカーが凄かったから、ジョーカー単体の映画も観に行きたい!」という気持ちが、一般層にも浸透しているというのもあると思います。 宇多丸:1970年代から80年代初頭の、治安が超悪かった頃のニューヨークが写っている映画が大好物と公言している私にとっては、今回の『ジョーカー』は、まさしくその時代そのものを描こうとしている。 (作中でのシーンで)ブライアン・デ・パルマ監督の『ミッドナイトクロス』とか、ジョージ・ハミルトン主演の『ゾロ』とかが登場したので、(時代設定は)具体的には1981年です。 1981年のニューヨークという設定で……ってかゴッサムなんだけど明らかにニューヨークですよ。 とにかく僕が言っているような、1981年のニューヨークを思わせるゴッサム・シティ及びその時代の映画たちを再現しようとしている作品であるということが、開幕早々にわかるわけですね。 要は「俺と同じような映画が好きなやつが作った映画だ!」っていうのが開幕数分でわかっちゃう!.

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【悲報】宇多丸、『天気の子』をそこそこ褒めつつ苦言を呈する・・・・・・

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第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品、ファティ・アキン監督最新作『 屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』が、 2月14日(金)バレンタインデーより、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開される。 この度、 本作への絶賛コメントと人気漫画家の花沢健吾によるオリジナルイラストが到着した。 ただ本作は、シリアルキラーを扱ったジャンル映画とは大きく異なる。 サイコロジカルホラーでありながらも、コメディであり、ドキュメンタリーであり、 孤独な男のロマンス映画でもある。 恐怖と哀愁、ブラックな笑いをギリギリのPOP感に閉じ込めた、 これまでのファティ作品全部入りと言っても過言ではない、豊潤なる不埒な映画。 とてつもなくグロテスクで、ぞっとして、ウェルメイド! この役を演じた勇気を称賛する。 それが延々、淡々と繰り広げられる。 記憶にこびりつく哀しい顔たち肉体たち、そしてあの空間。 その再現度にも驚く。 『ジョーカー』に不満のある人はぜひ観てください。 しかし、これこそ実話なのだ。 ファティ・アキン監督は、ロマンチックな殺人を徹底的に排除し、 くそリアリズムでホンカの醜い生をえぐりだす。 最低な意見だが、彼は頭のキレるサイコパスでもないし、 殺された側も年増の名も無き娼婦だったからだ。 しかし、映画を観てのけ反った。 想像を絶する地獄、なんという人間味… 私はなぜかゴミ屋敷に住む人に強い共感を覚えるのだが、 それと同じ感覚で殺人鬼に共感させられた初の映画。 開始5分、めちゃくちゃキツい。 間違いなくNo. 1殺人鬼映画。 そこでは殺人すら、だらしない。 このだらしない地獄のおぞましさ。 劇場を出た瞬間、悪臭の移り香を感じた。 inc 肉塊の如く絡み合いながらマウントを取り合うホンカと女たちのおぞましさよ。 自己を保ち生きるためならば、人はこれほど酷薄にもなれるのか。 饐えた臭いを嗅ぐ内に、観ているお前も同類だと この地獄に引きずり込まれてしまったようだ。 鼻をふさいだタオルには、現場を離れても吐き気をもよおす臭いが染みついていた。 フリッツ・ホンカの部屋にも同じ臭いが漂っていたに違いない。 だが彼は、そこで食べ、飲み、眠り、なにより女性を殺し続けた。 その事実にはただただ震撼する。 だが、彼らがナチスの時代に育ったことを考えれば、単なる殺人映画ではなく、 戦争が及ぼす永続的な狂気を描いた作品だと分かるだろう。 コンプレックスにまみれた欲望の火を、消すことすら考えず、繰り返す彼に、哀しくなる。 映画が終わったら、手を振ってあげよう。 しかし何より怖いのは、このフリッツ・ホンカが、静かで無害な男に見えるという点だ。 全編にわたって美しい映像が続くが、それを堪能する余裕はない。 観客は、ホンカの孤独と狂気に冷静さを失うだろう。 主演のヨナス・ダスラーの怪演には一見の価値がある。 それは吐き気を催すほど強烈に不快。 よくここまで地獄を煮詰めたと思う。 醜悪、卑劣、極悪、狡猾、粗略、滑稽。 忠実に再現されたこのイラストだけでも、その狂気が伝わってくる。 そんな世紀の問題作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は2月14日、バレンタインデーに公開。 センセーショナルな本作は日本中の話題となるはず! ぜひお見逃しなく! 映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』予告編.

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